竜のいる風景【短編小説】|ひゐ:宵々屋|note
困ったことに、その小さな村には竜がいました。 猫と並んで屋根の上で日向ぼっこをする竜もいますし、犬のように広場を走り回る竜もいます。カラスのように空を飛び回るものもいます。近くの森や川にも、大きなものがいます。おまけに畑にまでもいて、時折むしゃむしゃと作物を食べてしまうものですから、村人達はその度にしっしっと追い払っていました。 それでも竜達は、犬や猫や家畜と同じように村の一員でしたし、大きなものは村から熊や狼を遠ざけてくれます。彼らは可愛らしくて頼もしく、そしてごくごく平凡な存在でした。 そんな、住人達は至って普通であると思っている村は、秘境と呼ばれるべき場所にありまし
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