9cmの紙片に強みを出しきる。上司ニシグチの「印象に残る名刺」の作り方

「中吊り広告なんですね」 大阪からイベントのために上京された上司ニシグチ氏との挨拶。名刺交換で渡された名刺は、週刊誌の中吊り調。

上司ニシグチ氏は、Twitterでの発言が話題になるだけでなく、noteで「ストーリージェニックな名刺の作り方」 などを発信し、会社員でありながらイベントに登壇すれば、その会場はあっという間に満席。そのクリエイティブや働き方が注目されている人物だ。

上司ニシグチ氏の「ストーリージェニックな名刺」の秘話を聞いてみた。

ーーデザイナーのキャリアだと名刺は誰でも作ると思いますが、ニシグチさんが「ストーリージェニックな名刺」を作るようになったきっかけはなんですか?

イベントとかデザイナーの集まりで会社の名刺を出すのって照れ臭いじゃないですか。それで社会人3年目くらいには自分の個人名刺を作っていて、ある時に作った、板ガム型の名刺が、フリーランスのクリエイターの集まりで大ウケしたんです。

そこで調子に乗って、名刺ケースと名刺の連動にハマったんですね。次は、大人をテーマとした、ちょいワルおやじな「吸える名刺」をデザインしました。それがこのタバコ名刺。僕、タバコを吸わないんですよ。だけど、「タバコ吸いますか?」ってこれを差し出すと、これまたウケる。

さらにある時、名刺が入るような入れ物はないかなと探していたときに、ファミコン型の小物入れを見つけたんです。これに入れる名刺といえば、「私とそっくりなドット絵」しかないわけです。さらに裏は、スタート画面風に仕上げました。

この後に、無印良品の透明のカードケースにドカンのイラストを入れて、そこから出てくる仕様にした方がウケたので、そちらに変わっていきましたが、とにかく自分の名刺のデザインを考える時は、ケースから出して渡す時のビジュアル重視になっていきました。

名刺クリエイティブのきっかけとなった「板ガム型名刺」

吸える名刺?「タバコ名刺」

ニシグチさんそっくりな「マリオ風名刺」

ーーこれは…ひとつひとつ相当手が込んでいますよね。

そうなんですよ。例えば、タバコの名刺は、その太さにリアリティを持たせるために、問屋でタピオカミルクティ用のちょっと太めのストローを購入してきたんです。業者用のまとめ買いしかできないので、加工前のストローがまだまだ大量に家にありますよ。(笑)

そして、このストローを現物の長さに合わせてカットし、その中に、名刺サイズに合わせた紙を巻物のように巻きながらストローに差し込み、見える範囲に情報を入れてみました。

アメリカンスピリットは、タバコ全体が白色ですが、一般的なタバコのイメージは吸い口あたりが「オレンジ色」だと思うので、あえてパッケージも「オレンジ色」のものを選んでコーディネイトしています。タバコがパッケージに収まっている時は、名刺の情報が見えず、普通のタバコに見えるのも工夫したポイントでもあります。

ーーその情熱はどこから?

渡した時の反応に味を締めてしまっていました。それと同時に名刺ができる過程をお伝えすると、この名刺の見え方も変わりますよね。それでnoteも始めたんです。

同様の考え方で、カメラ型ケースにポラロイドの名刺というのを思いついたんです。それを「カメラマンさんで使いたい人はいませんか?」とつぶやいたら反響があり、実現することができました。

Twitterのつぶやきがきっかけで受注に至った「ポラロイド名刺」

ーーTwitterのプロフィールは、利用開始が2015年になっていますが、そのころから徐々に?

いいえ、最初はアカウントだけ取って、何をつぶやいたらいいか分からなくて放っておいたんです。それより先にInstagramを更新し始めました。

このIDEA POSTというアカウントなんですが、これは佐藤ねじさんの『超ノート術』という本がきっかけで始めたもので、「クリエイターは発信し続けるといい」というのを実行したんです。

Instagramにしたのは、当時、Instagramが盛り上がり始めたのと、デザイナーだからなのですが、僕は別に絵が上手いわけじゃない。

ただ、SNSマーケティングの専門家の知り合いなどにコツを聞きながら、戦略的にやりました。例えば、全体のトーンは揃えた方がいいので、統一感のありフォーマットや色使いですね。365日続けようと思ったので、色もピンクとブルーの2色で塗るのが面倒くさくならないようにしました。

これはInstagramをまとめた冊子なのですが、このバーコード見てください。この日に展覧会をやるというのをゴールにして、しかもこのアイディアたちのどれかひとつでも商品化しようというのを目標として設けていたので続けられました。

もちろん、この日に展覧会もできましたし、IDEA POST内のこうもりネクタイが『イラストを描くと製品化されてヴィレッジヴァンガードで売られる大賞』で商品化されました。その当時は、「IDEA POSTさん」って呼ばれてました。

ーーInstagramの「IDEA POSTさん」から、「上司ニシグチ」さんになったのは、どのタイミングなんですか?

これはIDEA POSTが終わって、Twitterで投稿したものがバズったのがきっかけです。

とあるクリエイターさんと話していて、実体験に即したものを投稿するといいと聞きました。それまではずっとクリエイターやデザイナー向けの投稿をしていたのですが、部下に向かって言っていることをつぶやいたら、反響が大きかった。確かにデザイナー向けにするより、部下に向けた方が、パイが大きくなりますよね。その後からですよ、「上司ニシグチ」になったのは。

ーー「IDEA POST」から、「上司ニシグチ」に。次に考えているプランはありますか? 

ここ数ヶ月は転職で忙しかったのですが、オンラインコミュニティの「オンライン上司」などを活用して個人のブランディングをもっとやっていきたいですね。

上司ニシグチ  会社員18年目のアートディレクター|トゥモローゲート株式会社 意匠制作部|アートディレクション・ブランディング・企画制作・デザイン|オンラインコミュニティー #オンライン上司 主宰

上司ニシグチさんの作品集はこちら https://www.foriio.com/jyoushi

Twitter https://twitter.com/a_design_link

Text: Momoko Nakamura / Photograph: Kozue Ifumi


【イベント情報】 6月29日(土)上司ニシグチさんのお話を直接聞けるチャンスが大坂であります。ぜひお越しください!

foriio Creators meet up vol.3 in Osaka 「クリエイターとクライアント、双方から考えるお仕事獲得術!」 日程:2019年06月29日(土)14:00-17:00     (13:30開場 / 14:00開始 / 17:00終了) 会場:D-SPOT ZERO   (大阪市中央区備後町2丁目4-10 第一住建備後町ビル8階) 地下鉄各線本町駅 徒歩5分 / 地下鉄各線堺筋本町駅 徒歩5分    http://www.d-group.co.jp/d-spot/d-spot-zero/ ゲスト:上司ニシグチ((アートディレクター、デザイナー) / サタケシュンスケ(イラストレーター) 定員:55名 参加費:4,000円(税込)

**チケット** 下記、Peatixよりお申込みください。 https://foriiocreatorsmeetupvol3.peatix.com

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