「鯨の骨」
蕾が開く頃、僕は鯨の骨を見るために博物館を訪れていた。屋外に展示された三頭の骨格標本はただ静かに佇んでいた。写真を数枚撮り、「この前のお礼」と短いメッセージを添え、彼女に送る。
帰りの電車でうとうとしているなか、次に再生された音楽を飛ばそうと携帯の画面を見たとき、彼女からの返信が来ていたことに気づく。
「この前、恐竜の骨の展示を見たときにも思ったんだけど、存在していたという事実を声も出さず、ただ静かに証明しているのってすごく神秘的だよね。」
「知ってる?鯨が死んじゃって海底に沈むとそこに一つの生態系が形成されるんだって。これってさ、音楽にしろ絵にしろ、それこそ私が扱う言葉だって同じことなんじゃないのかなって思うの。鯨みたいに大きな存在、つまり強い影響力を持った人が私の属している生態系の中にいて、その人が生み出したものを私が食べて成長する。そうだな、私にとって鯨は叔父さんで...」
僕は、僕にはない彼女の感性をいつも羨ましく思ってしまう。叔父さんに似た感覚を、彼女は持っている。
電車の揺れによって加速した眠気で、送られてきたメッセージの続きを読まないまま、僕は眠りについた。
二頭の鯨が広い海原を泳いで旅をしている。そんな夢を見たような気がした。
ブルースター - 眠る鯨
Blue Star - Sleeping Whale
Music / Words:ゆわね
https://x.com/yuvvane
Vocal:夢深める
https://x.com/meru51385054
https://www.youtube.com/@yumemimeru116
Mix / Drm Rec:オグ
https://x.com/wogu28
Movie:しと
https://x.com/yoru__410
■歌詞
水底に沈む 貴方の右頬が砂に落ちる
波間を漂う 声の潮を眺めてる
夜の光は貴方に似ている
貴方の瞳はあの鯨に似ている
さあ、眠ろうよ
肌に触れてる 幽かな鎖と
さあ、満たして
心で掬った 言の葉で
水底を歩く 貴方の足跡が砂に落ちる
波間に瞬く 声の灯火を集めてる
朽ちた鯨は夜の月になって
夜の月明かりは貴方の声になる
貴方の呼吸は眠る鯨のよう
静かな鯨は僕の月明かりになる
さあ、眠ろうよ
肌に触れてる 確かな鎖と
さあ、声に出して
心で掬った 言の葉を
貴方のその声で
聞かせて
#VocaDuo2025