生活に疲れた女と少女専門店で買い求めた美しい花の物語です。
人一倍、死にたかった。
人一倍、生きたかった。
意味もなく死ぬのは厭だった。何処にもゆけぬまま死ぬのは厭だった。そうそれは、公共交通機関の中で通り魔に刺されるのに似ていた。高校の屋上で飛び降り自殺をするのと似ていた。どこにもゆけぬ、袋小路のまま動けずに死んでゆくのはおそろしかった。
美しいものだけを観て暮らしてゆきたいだけなのです。
そうそれは、空が透けるような薄紅色の薔薇。皿に盛られたゼリィから透かしてみえるさくらんぼ。万華鏡によく似た造花。チープな煌めきみちたジュエリーボックス。贅を尽くしたがらくた。そういうものだけを、観ていたかった。
かなうならば、うつくしいものに水を遣って。葉をととのえ、それを日に二度。それだけで暮らしたかった。
生活はくさくてみにくくて、べっとりと油のようにそのにおいをわたしの身体にうつすから、とても疲れる。
だから、ときどき透き通った海に身を呑ませたくなるのです。
きっと油汚れのようにべたついた" 生活" を、わたしの身体から落としてくれる。どぷりと。