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シマハイエナ対アフリカタテガミヤマアラシ

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シマハイエナ対アフリカタテガミヤマアラシ

分類:食肉目ハイエナ科/齧歯目ヤマアラシ科 シートン大友の百獣画録 第62話「悪食家」  第15話でハイエナの名誉回復を試み、第44話でその名誉がまた怪しくなりました。今回、さらに怪しくなります。第15話で「動物性タンパク質なら何でも食べる」と書きましたが、あれは控えめな表現だったかもしれません。腐ってウジが湧いているような肉でも、硬くて太い骨でも、ハイエナは平気な顔をしてバリバリ食べてしまいます。第5話でパンダを「動物界の偏食家」と呼びましたが、ハイエナはその正反対。言うなれば「動物界の悪食家」です。そしてその悪食ぶりには、私が長年動物を研究してきた中でも特に驚いた一件があるのです。  昔の動物ドキュメンタリー番組で紹介されていたワンシーンです。シマハイエナがアフリカタテガミヤマアラシを襲おうとしたところ、ヤマアラシの毛針が頭に刺さってしまいました。しばらく痛がっていたハイエナでしたが、やがて毛針を抜くと、なんとそれを齧って食べ始めたのです。ヤマアラシの毛針は、刺さりどころが悪ければライオンやトラでも命を落としかねない危険な武器です。第35話のアリクイの爪はジャガーを仕留めることがあると書きましたが、ヤマアラシの毛針もまた、大型肉食獣を殺しうる小さな動物の武器です。その武器を、痛い思いをした直後に食べてしまう。流石の悪食家です。  なぜハイエナは毛針を食べたのか。ヤマアラシの毛針は毛が硬く変化したもので、成分はケラチンです。第27話でサイの角の正体が「毛の塊」だったことをご紹介しましたが、ヤマアラシの毛針も同じケラチンで出来ています。ケラチンは動物性タンパク質ですから、ハイエナにとっては立派な食べ物なのです。ヤマアラシ本体の肉にはありつけなかったものの、刺さった毛針がちょっとしたおやつになった。・・・災い転じて福となす、とでも言うべきでしょうか。もっとも、普通の動物なら災いのままで終わるところですが。  第15話で「嫌われ者のイメージは不当だ」と弁護し、第44話のハイエナバターで名誉回復が遠のき、今回の毛針でさらに遠のいてしまいました。しかし考えてみれば、他の動物が食べられないものまで食べられるというのは、生存戦略としては極めて合理的です。第5話のパンダが竹しか食べない偏食で堂々としているのなら、ハイエナも毛針まで食べる悪食で堂々として良い。・・・名誉回復の道のりは長そうですが、当のハイエナは気にしていないでしょう。次に何を食べるかの方が、余程大事なのですから。
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