分類:食肉目ネコ科
シートン大友の百獣画録 第84話「甲羅を砕く顎」
ジャガーはネコ科ではトラとライオンに続いて三番目に大きいと言われている動物です。第33話で「ラグビー選手のような体格」と褒め、第82話ではペッカリーの群れに苦しめられ、第35話ではアリクイの爪に刺され命を落とすこともあると書きました。南米では苦労が多いジャガーですが、今回はその真の実力を見せる番です。ジャガーには、トラにもライオンにも出来ないことをやってのける力があります。
それは、強力な顎の力でカメの甲羅を噛み砕くことです。さらには大型のワニの喉元に食らいついて倒すこともある。第12話のカバの噛む力はおよそ1トンでしたが、ジャガーの顎もまたネコ科では最強クラスと言われています。私も初めてこの話を聞いたときは、カメの甲羅を噛み砕くとは大袈裟なと思ったものです。しかしその後、ドキュメンタリーの映像で砂浜に産卵にやって来たウミガメにジャガーが襲いかかり、甲羅をバリバリと音を立てながら噛みはがして中身を食べているシーンを観たことで、本当なのだと確信しました。第79話のヒョウは知恵で獲物を騙し、第32話のトラとライオンは体格と筋力で勝負する。しかしジャガーは甲羅という「鎧」すら砕く顎の力で勝負するのです。
さらにジャガーには、トラと同じく水中を泳ぐことが出来、ヒョウと同じく木にも登れるという特技があります。第1話のトラは水浴びでニオイを消す「戦略的な入浴」でしたが、ジャガーの場合は水中のワニを仕留めるための「戦闘的な入水」です。木に登れるのは第79話のヒョウも同じですが、ジャガーはあのラグビー選手の体格で登る。水中でも陸上でも木の上でも狩りが出来る。まさにアマゾンのジャングルに君臨するスーパーキャットと言える存在です。
ペッカリーの群れに圧倒され、アリクイの爪で命を落とすこともある。南米では苦労が多いと書いてきましたが、それはジャガーが弱いのではなく、南米の動物達が強すぎるのです。甲羅を砕き、ワニを倒し、水中も木の上も制するスーパーキャットに苦労をさせる南米の動物達もまた、相当なものだと言わざるを得ません。・・・もっとも、ジャガーに言わせれば「苦労が多いのではない、相手を選んでいるだけだ」ということなのかもしれませんが。