【こんな日は、お前とラーメンが食べたい】
このシナリオアンソロジーは私が主催をし、SNS上の企画(他者主催)に投稿したものになります。
コンセプトとして、クトゥルフ神話TRPGというゲームにおいて『継続探索者』と呼ばれる立場のプレイヤーキャラクターで遊ぶ前提のものでした。
『継続探索者』とは、クトゥルフ神話TRPGのシナリオを1回~長期にわたってプレイヤーが使って来た、プレイヤーキャラクター。つまりは『すでに一度人間の常識外の出来事に合い、苦しんだ。辛酸を舐めさせられた。あるいは不可思議でありながらも良い体験をした』立場の人間の事を言います。
そんな人々の『幕間』として、なにがふさわしいのか、と考えた時に『一服』『一休み』という感覚ではないか、またそれは『友人と一緒にラーメンを食べに行く』という感覚がふさわしいのではないだろうか。そう考えました。
しかし、クトゥルフ神話TRPGというゲームは、ゲームデザインとして『正気が減るような恐ろしい出来事』に遭うようになっています。昨今においては様々なテイストのシナリオが出ており、初期の公式から提示されているよりも幅広い解釈の元遊ばれています。ですが、ゲームコンセプトとしては幕間といえども上記の部分は外せない。ホッと一息を付けるような瞬間があり、『やっぱりまた巻き込まれた!』という瞬間があり、な作品を詰めたアンソロジーを目指しました。
【酸甘苦辣】
本シナリオアンソロジーを制作するにあたり、4人のライターに声をかけさせていただきました。
目指す幕間という観点から、『誰でも遊べる』『気になったらすぐ遊べる』『必要時間が少ない』という部分を今回の製作陣では共通のコンセプトとして仕上げました。そのため、おおよそ3万字前後、手軽に夜1~2日で遊べるシナリオという条件でライター達には書いてもらっております。
タイトルである『酸甘苦辣』というのは、元々『酸甜苦辣』という中国のことわざであり、酸っぱい・甘い・苦い・辛いのあらゆる味/さまざまな経験;この世の辛酸という意味で使われてるものに由来します。
これから、探索者という存在が、神話的存在にであり、ありとあらゆる苦難や辛酸を味わった後、このシナリオアンソロジーで遊んで欲しい、と思い一字を変えてタイトルとしました。
丁度4人のライター、4つの漢字、というのも良かったと思います。
また、一字変更したのは日本語において馴染みのない甜を変え、題字をスッキリさせることのほかに、検索結果が既存の言葉との混在を防ぐために行いました。
結果として、上記のコンセプトに加え、『ラーメンシナリオアンソロジー』というものにキャッチーさを感じていただけたのか、思っていたよりも頒布数が伸びる結果となりました。
大手~小規模活動、書き出したばかり、という、様々な立場のライターの作品を一つにまとめることで、今まで知らなかったライターの作品を読んでいただける点がアンソロジーの強みの一面だと考えております。
アンソロジーを通して、今回協力していただいたライターそれぞれに新たなファンが増えていれば喜ばしいと思います。
【制作に携わって】
もともと同人誌や成果物の頒布を行うこと自体初めてで、多くの知人に聞いてやっと立ち上げ、特にトラブルもなく終えたプロジェクトでした。作り手の側に立つことで、今まで見えていなかった部分も見えたと思います。
今後も何かの折にアンソロジーの立ち上げや、ライターへのちょっとした支援のような形で作る側にも携わっていけたらと思っております。