時代
西暦2300年
数学者五月雨 櫻夜(さつきあめ さくや)は、並行世界の観測に成功した。
そうして並行世界は無数に存在するが、その並行世界が何者かによって”ロスト”させられている事に気付くのだった…
しかし彼はどうすることもできないと”判断”した。
彼女を、”エールスト”を蔑ろにした大衆に”絶望”していたのだ。
彼は緊急会見を開き、滅びの予言を発表した。
会見の雰囲気と似合わない。穏やかにいつもと変わらない、笑顔でこう言った。
「あと3年後に、世界は滅ぶでしょう」
***
それは偶然だった。いや、仕組まれていたのかもしれない。
緊急会見後にエールストが消えた。彼は必死になって捜索した。心の拠り所はエールストだけだった。
彼女の書庫は厳重にロックがかけられている。いつもなら絶対に入ることはなかった。
でもその日は違う。何故か呼ばれている気がした。そうして目についた一冊の洋書に触れてしまう。
その瞬間、彼は選ばれてしまった。
五月雨櫻夜は”主人公”として”舞台”に配役されたのだ。
キミがいる世界は、全ての並行世界の"核"
そうしてキミが観測したタイムトラベラーを止めないと"スベテのセカイが崩壊する"
ボクは力があるし、キミはそれを止めるチャンスがある
本の中に封印されていた”何か”はそう言った。
───
”僕”は思う。
ウンメイと呼ばれるその日付までに、世界の中心人物"エールストの生まれ変わり"が生きてさえいれば核となる中心世界は"ロストはしない"
しかし全て数学的な確率なので試すまでは分からず、ウンメイまでに生まれ変わりが生きたことはただの一度だってない。
必ず、凄惨な死を迎える。
現に299回失敗した。僕は五月雨櫻夜とは違う。彼のコピー。劣化版。
君を救える日が来るのだろうか。
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