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拝啓、星空へ / IA

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制作ノート
制作においてのストーリー

なんか普段こういうの書かないんで恥ずかしくて嫌ですが、一応載せます

ちなみに、人が人のことを忘れる順番は、最初に声を、次に顔を、最後に思い出を忘れるそうです。

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一年前に恋人を失った少女がいた。

少女といっても18歳くらいのほぼ大人だ。

少女の恋人は夜、雨の日に薄暗い路地を歩いていた時、速度を出していた車に撥ねられて亡くなった。

少女はそれから笑顔を見せることがなくなった。当然だ。

誰しも大切なものや人を失ったら笑顔でいられない人も多いだろう。

...今日で一年が経つ。予報だと一日中雨らしい。

供養をした後、傘をさして帰ろうとする。

帰り道、路地裏で彼の声が聞こえた気がする。

少女は声の主を捜そうとしたが、放心状態でそれどころではなかった。

何も言えずにいると、彼の声がまた聞こえる。

幻聴だとは思いたくなかった。たとえ幻聴だとしても、彼の声がまた聴けて嬉しかった。

少女はなぜ声が聞こえるかを疑問に思わなかった。

心が落ち着いた。だが彼女の視界はだんだんと遠のいていった。

気が付くとベッドにいた。少女は、今 現実にいるのかわからなくなった。

カレンダーを見ると供養の次の日だった。次にここが自室ではないことに気づく。

医療機器が視界に入る。病院だ。なんで私が。

近くにいたナースに聞く。なぜ此処にいるかを。

どうやら私は傘をさした後 倒れたらしい。彼の母親が救急車を呼んでくれたそうだが、全く記憶がない。

少女はベッドの上で静かに泣いた。

経過観察で異常が無いとわかると、自分の住んでいるアパートに戻った。

もう生きていくことが酷だ。何のために生きればいいのかと考えるようになってしまった。

誰にもわからないことなのに。

暗澹に呑まれた少女は死んでしまえば彼に会えると信じていた。

それが最語の手段だった。それでも死ぬ勇気がなかった。

死ぬことが怖かった。

数か月が経ち、もう生きようが死のうがどうでもよくなった。


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来る日も来る日も死ねなかった。

夜の空気がなんとなく吸いたくて外に出る。

そんなとき、彼の声が聞こえた。

やっと会えた。やっと話せる。

そして君が好きだった歌を歌う。

星となった君に届くように。

私を連れて行ってくれるように。

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