2024年の春から、知り合いのダンサー数名の写真集の撮影をしている。本番で踊っている写真ももちろんあるが、本人が行きたい場所や思い出のある場所など、あとから見返したときに懐かしさや嬉しさを感じられる場所で、自然な写真も多く撮っている。
ミュージシャンやダンサーは、本番のときにオンにするスイッチを持っている方が多いが、スナップやポートレイト系の写真を撮るときには、あえてそのスイッチは押さないほうがいいこともある。写真集やアー写では、より自然な姿や表情が写っていたほうがいいことが多いからだ。
こうした撮影では、事前の打ち合わせで、本人の中に眠っている記憶を呼び起こす作業が重要だったりする。それによって、「本当に大事にしたい記憶や思い」が鮮明になり、そこで撮影するモチベーションや、必要性を再確認できるからだ。
日々の生活に没頭していると、忘れてはいけない大事なことでも、意外と頭から抜け落ちていることがあるものだ。写真は、見返したときに一瞬で大事な記憶を呼び起こす力があるので、「忘れてはいけないこと」を写真に残すのはとても大事なことだと思う。