モーションは、定点の実写ダンス動画をもとにQuickMagicで抽出したUnity-Animをベースに制作しています。その上で、Very Animation上でカーブ調整とキーフレーム単位の修正を併用し、破綻の修復だけでなく、動きの“間”や重心の残り方まで含めて整えました。あえてキーフレーム削減は行わず、「無駄な動きなんかない」という前提で、生データに含まれる微細な揺れや加減速を保持しています。自動簡略化によって均されやすい身体性を残すことで、既製モーションには出にくい“生感”を優先しました。
ルック面では、背景の情報量が多い環境でもキャラクターが埋もれないことを最優先に設計しています。Depth of Fieldはあえて控えめに留め、背景のディテールを完全には潰さず残したうえで、背景全体のトーンを紫寄りに、キャラクター側をわずかに赤みのあるピンク方向へ振ることで、同一画面内に明確な色温度差を作りました。さらにキャラクターと背景は、レイヤー分けした別カメラで描画・合成し、それぞれを個別に色調管理することで、空間の情報量を保ちながらも主役の存在感が沈まないバランスに調整しています。
マテリアル表現にはTapioca Toon Shaderを活用し、ベースカラー、シェイド、ボーダーカラー、シャドウ、リムライト、さらにリム陰まで細かく色をずらすことで、単色では出しにくい深みを積み上げています。特にリムライトは白で強めに設計し、背景との分離を明確にしつつ、上斜め後ろからの弱い光と、下斜め後ろからの強い光を組み合わせることで、身体のラインを立てながら、髪だけが過剰に光って破綻して見える状態を抑えました。輪郭だけを一律に明るくするのではなく、光の入り方に高低差をつけることで、シルエットの立ち上がりと髪まわりの自然さを両立しています。トーンマッピングはあえて強い変換をかけず、色の圧縮による“実写寄りの鈍さ”を避けることで、トゥーンらしい発色と輪郭の気持ちよさを優先しました。
加えて、画全体の密度を底上げするため、床には鏡面反射を導入しています。単に床を光らせるのではなく、平面反射用の別カメラで反射テクスチャを生成し、クリップ平面つきで投影することで、キャラクターの足元に空間の奥行きと密度を与えました。これにより、接地感を強めるだけでなく、画面全体にステージとしての完成度を付与しています。
撮影設計では、Vcam側に距離依存のスムージングを入れ、寄り引きの移行でカメラが機械的に見えないよう制御しています。また、顔位置を基準にDepth of Fieldの焦点距離を自動追従させることで、情報量の多い背景の中でも視線が常に顔へ戻る状態を維持しました。加えて、キャラクターと背景をカメラ分離した構成でも接地感を失わないよう、別レイヤーで管理した補助Rendererを用いてアンビエントオクルージョンを安定化させ、足元の立体感を保っています。
カメラワークは、ダンスそのものを最も魅力的に見せることを基準に設計しました。冒頭のみアップを採用し、それ以降は全身のラインと接地感が伝わる、ほぼ定点に近い構図を中心に構成しています。これは演出的な判断であると同時に、冒頭付近には足元の破綻が視認されやすい区間が存在したため、そこをアップで処理することで、作品全体の完成度と視線誘導を両立させる意図もありました。一方で、それ以降は足元の抽出精度と接地感が十分に成立していたため、あえて引きの構図と動きのあるカメラを選び、身体全体の流れと床との関係性そのものを見せる方向へ振っています。