■概要
長野県阿智村にある「ぼくらの郵便電話資料館」のパンフレットを制作しました。
本施設は、使われなくなった旧特定郵便局の局舎をリニューアルした資料館であり、逓信省時代からの資料を1万点以上所蔵しています。東京の郵政博物館にも所蔵されていない貴重な資料が数多く展示されています。
パンフレット制作にあたっては、郵便史研究家であり、公益財団法人日本郵趣協会公認審査員でもある板橋祐己氏にご協力いただきました。氏とともに資料館を訪問し、歴史的背景や考察を交えた文章をご執筆いただき、その内容をもとにパンフレットを制作しました。
■この資料館の魅力は、明治時代から続く日本郵政の歴史と、地域の郷土史の両方を知ることができるところです。館名は地元の中学生によって考案されたもので、「ぼくらの」という言葉からは、この地域に根差した存在であることや、地元住民に親しまれ、愛着を持たれている施設であることが感じられます。
設立者である初代館長はすでに亡くなられていますが、「多くの地域の方々に郵便の歴史を目で知っていただき、また、地元の子供たちにも勉強の場として活用してもらいたい」という想いのもと、この施設を創設しました。また、さまざまなアイディアで地域の活性化や観光化にも取り組んでいました。その創設の精神や、初代館長の人生・人となりもまた、この資料館を形づくる重要な魅力であると考え、館の沿革とともに紹介する構成としました。
以上の点を踏まえ、全体として「歴史性」と「地域性」を感じられる雰囲気を意識しました。
また、初代館長の“地域の発展を願う想い”や、観光化への取り組みを受け継ぎ、このパンフレットを都心部の旅行関連施設や、東京都内の郵政博物館へ設置することも提案しています。
■デザインについて
・パンフレットのラックに縦置きで設置された際、上部しか見えなくなることを想定し、タイトルを上部にレイアウトしました。
・数多くのパンフレットが並ぶ中でも埋もれず視線を引くこと、また「郵便」のイメージを直感的に想起させることを意図して、赤を広い面積で使用しました。
・初代館長は写真家でもあり、地域の風景や人々の暮らしを長年記録した膨大な写真を残しています。それらをモノクロでコラージュ状に配置し、その土地と時代ならではの空気感を視覚的に表現しました。
・歴史ある雰囲気と、農村地域特有の素朴で穏やかな情緒を同時に表現するため、インクの色むらや版ずれ、網点などの表現を取り入れ、リトグラフ印刷のような風合いを演出しました。
・「郵便と電話の資料館」であるだけでなく、「長野県にある観光施設」であることを印象づけるため、リンゴのイラストをアクセントとして加えました。
