アニメ「メイドインアビス」
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アニメ『メイドインアビス』EDを手がけた演出家久保田雄大が語る、2つの軸で表現の引き出しを増やす演出家像
© 2017 つくしあきひと・竹書房/メイドインアビス製作委員会

『ピンポン THE ANIMATION』や『ブブキ・ブランキ』といったテレビアニメ作品の演出をはじめ、livetune adding 中島愛のMV「Transfer」のアニメーション監督、アイマリンプロジェクト内「Dive to Blue」MVの監督を務める演出家の久保田雄大氏。

テレビアニメからMVや広告アニメーションを手がける同氏は2017年、テレビアニメ『メイドインアビス』のEDを参画するユニット「PLAMOV」にて手がけた。そんな久保田雄大氏に、同作品の制作秘話を聞いた。

プロフィール
久保田雄大 / kubotabee
アニメ演出家

TVアニメーション、劇場アニメーションの演出、コンテ参加のほか、TVCM、PV、グラフィックデザインやコンテンツ企画等のディレクションなど幅広く活動中。2016年よりクリエイティブユニットPLAMOVとしての活動もスタート。

https://www.foriio.com/kubotabee

——まず、久保田雄大さんの現在のお仕事とご経歴について、簡単にお教えください。
久保田雄大:今は、テレビや劇場アニメのほか、MVなどのアニメパートの演出、監督をしています。

大学で映像の勉強をしていたこともあり、卒業後制作進行としてアニメ業界に入りました。制作進行というのは、アニメ制作に携わる人たちの間に入って、素材の受け渡しや情報伝達をして現場を円滑に回す役職ですね。

——アニメの演出家になるためには、制作進行からキャリアを始められる方も多いですよね。演出の仕事を始めるようになったのはいつ頃からですか?

久保田雄大:働いていたアニメ会社で、ずっと「演出をやりたい!」と言っていたら、演出ではないんですがゲーム作品内のアニメーションのコンテを書かせてもらったのが最初です。その後、アニメ会社を退職、当時お世話になっていた演出家さんの下で演出助手をするなどして、ちゃんとした演出としてデビューしましたね。

この頃から「kubotabee」という個人での仕事も受けるようになっていきました。某有名アーティストのライブ中に流れる映像のアニメパートをディレクションしたり、livetune adding 中島 愛のMV「Transfer」でセル・アニメーション・ディレクターなどを務めたり。そうやって、なんとかクリエイターとしての一歩を踏み出した感じです。

その後も、アニメ業界での仕事もやりつつ、同時にMVやCMのアニメ演出などをやらせていただいていて、今はその2つが仕事の軸になっていますね。

——ライブ映像やMVの演出を手がけるようになったきっかけは?

久保田雄大: 仲良くさせてもらっている友人達が、偶然アートディレクターのファンタジスタ歌麿さんと繋がっていて。

プライベートで仲良くしている中で、僕が「アニメの演出をやっている」ということで、仕事も一緒にやるようになっていったんです。

『メイドインアビス』EDの横スクロールアイデア

——アニメ業界に加えて、MVといった映像分野の2軸で活動をされている久保田雄大さんですが、2017年にはテレビアニメ『メイドインアビス』のEDを手がけていらっしゃいます。この制作経緯について、お教えください。

久保田雄大: 当時、僕は映像作家のUKYO Inabaや友人のデザイナーたちと一緒に「PLAMOV」というユニットを作っていたんです。みんなで事務所を借り「何か一緒に仕事をしたいね」なんて話をしていて。

その時、ちょうど『メイドインアビス』のアニメ化が発表され、友人に話を聞いてみると、制作会社がキネマシトラスだったんです。

PLAMOVにキネマシトラスと繋がりがあるメンバーがいたので、プロデューサーの小笠原さん(キネマシトラス代表兼プロデューサー)に連絡してもらい直接相談に行きました。PLAMOVメンバーはみんなメイドインアビスが大好きで何かしら関わりたかったんです。笑 そうしたら、運良くEDの枠が空いていたので、僕らPLAMOVで手がけさせていただけることになりました。

——『メイドインアビス』EDのアイディアは、どのように生まれてきたのですか?

久保田雄大: 『メイドインアビス』という作品は、女の子が自身の母を求めて、男の子と一緒に地中深くへと探検をしていくお話です。まず、その作品の大枠を表現したい、と考えて、UKYO Inabaといくつかアイディアを出し合いました。

彼が出したアイディアの中に、「ゲームの横スクロール風にどんどん地下へと潜っていく」というものがあり、これが起点になりました。

それに加え、『メイドインアビス』がお話自体かなりシリアスなので、原作の絵のタッチやエンディングテーマの雰囲気を踏まえ、絵本のように可愛く見せよう、と決めました。数枚の静止画で紙芝居のように動く絵にしよう、と。

その上で、本編の監督である小島正幸さんの意向なども踏まえ、優しいイメージで制作していったんです。

——たしかに、EDは、絵本のような可愛らしいタッチでキャラクターが動くのが印象的です。後半にはいわゆるアニメらしいカットで、穴に落ちていくシーンもありますが、これはどういった意図で?

久保田雄大: 結局、横スクロールのままだと、オチがなくて淡々とした映像になってしまい、しまらないかなと思ったからです。

やっぱり、OPでもEDでもひとつの見せ場は作るべきだと思うし、OPとEDは作品の顔みたいなところもあると思うので、アニメ的な動いたカットを作ろうということになりました。ある程度メリハリをつけよう、ということですね。

——制作する上で、苦労したポイントは?

久保田雄大: アニメの場合、基本的に16:9のフレームに合わせたサイズで作画作業を行うのですが、今回EDの序盤はワンシーン、1カットで映像が進んでいきます。ワンカットで見せようとすると、今回の場合背景がすごく大きくなってしまうんですね。すごい大きな背景の画の中で、どんどんビジュアルが変わっていき、場面の転換も起こっていく。ある程度、長い尺で1カットの映像を見せようとした際、背景の構成を決める作業は大変でしたね。

少人数のチームでも、大作の中で作品を作れる

——チームで共に制作をされたということですが、そういった面で難しかった点や、反対に良かった点などはありますか?

久保田雄大: 僕は基本的にアニメの演出処理を担当していたんですが、主に撮影を担当していたUkyo Inabaは普段、実写映像を制作することが多い。やっぱりアニメ畑と実写畑の人だと、そもそもの考え方や作り方が違うので、コミュニケーションをする際に翻訳をする必要が多少ありました。

良かった点としては、僕たちのような少人数のチームでも、こういった有名な作品の中で、自分たちの作品を作れる、というのを提示できたことですかね。最近では、アニメ業界外のクリエイターがアニメのOPやEDを作ることも増えています。ただ、その場合でも、どうしても大きな映像会社が手がけることが多いんです。アニメを作るのにはそれなりののコストとマンパワーがかかりますから。

でも、少人数のチームでもやろうと思えば、こういったこともできるんだ、というひとつのケースになったんじゃないかな、と思っています。

——最後に、久保田雄大さんは今後、どういったお仕事をして、ご自身のポートフォリオをどのようなものにしていきたいと考えていますか?  

久保田雄大: 直近では、現在テレビアニメの副監督として制作に入っており、その後はテレビシリーズの初監督もやらせていただく予定になっています。

なので、こうしたアニメ業界での仕事もしっかりやりつつ、もうひとつの軸であるMVや広告系の仕事も続けていければいいな、と思っています。というのも、やはり実写であったり、CMやMVといった仕事をすることは、その分、自分の中の表現の引き出しを増やすことにつながっていく。

アニメ業界だけに限らず、いろいろな面白いクリエイターと関わることで、より面白い作品を作っていけたらいいな、と思っています。

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