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colormal "cathode" | アートワーク

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colormal "cathode" | アートワーク-1
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制作ノート
制作意図、元ネタなど

前回のEP "anode"に引き続き担当させていただきました。

今回は事前にメンバーさんの方から「anodeの対になるようにアートワークを作ってほしい」とのご要望を受けたので、anodeと出来る限り同じフォーマットで制作を行いました。
ということなので、今回の制作ノートも前回に合わせる形で書いていきます。

ロケーションはanodeと同様、部屋の中です。
アートワークの真ん中には窓を、そこに映し出される塔と夕陽。
今回も非常にシンプルな構成で制作させていただきました。

今回の基準となる「窓」。
前回の鏡は自身を映し出すものとして起用しましたが、今回は「自分以外の何か(誰か)に自身を映すもの」として起用しました。
窓自体に元ネタはありませんが、参考にしたのは僕が去年の夏に両親がコロナの陽性になり、自主隔離していたビジネスホテルの窓です。
イエナガさんからはヒトリエの「ポラリス」のシングルジャケとBase Ball Bearの「(WHAT'S IS THE)LOVE&POP?」感があるといわれました。
両バンドともcolormalのルーツにあるので、意図こそしていませんでしたが、そういう部分で繋がってる部分があったのは個人的に嬉しかったです。
なお、こちらの比率はanodeの鏡をと同じです。

真ん中にそびえ立つは「塔」。
楽曲をお聴きいただいた方はわかると思いますが、「塔」から引用です。
丸い塔なので「回転」とも掛かっています。
前回は真ん中の幽霊をぼんやりさせたので、今回ははっきりと見せています。
というのも今回はちゃんと伝わるものにした方が良いと思ったのもあって、難しいことやなるべくあらぬ方向へ想起させないよう努力はしたつもりです。
これは実際に見た人からの感想を聞かないとわからないことではあるので、それがちゃんと出来てたかというのはもう少し先の未来でわかることでしょう。
元ネタは、中村一義の「金字塔」と形而上絵画時代のジョルジョ・デ・キリコに掛かれている大きな煙突です。
なので実際には塔ではないんですけど、子どもの頃って大きくそびえ立つものはみんな塔に見えてたりしませんでした?僕だけですかね?
僕は近所の団地にある大きな貯水塔や工場地帯の煙突にすごくカッコよさや壮大さを感じてた子どもだったので、そういうノスタルジックな記憶を呼び起こすような意味もあります。
あくまでも僕個人の経験に基づいたものなので、そこまで感じてくれる方は稀かと思いますが...
ちなみに、こちらの高さもanodeの幽霊と同じくらいの高さに調整してます。

塔の後ろに顔を覗かせている「夕陽」についてですが、色んな所で李白の「落日故人の情」から引用してるって言ってますが、実は東京事変の「落日」が元ネタです。(そもそも李白の「故人」は「友人」や「旧友」という意味らしいので、意味が通らないんですよね。さっき知りました。)
亡くなった愛猫への弔いの歌ですが、そもそも「落日」というのが日が落ちるという意味のほかに「勢いが衰えることの例え」として使われることもあるので、今回"死"がテーマの曲が多いのも相まって夕陽をロケーションにしました。
どうでもいいですが、僕は夕焼けが好きです。
だからこそ今回のアートワーク制作の色味はめちゃくちゃ意識しました。お陰で過去一くらい精神をすり減らしましたが、良いものが出来たので良しとします。
元ネタはクロード・モネの「黄昏、ヴェネツィア」やJ・M・W・ターナーの「湖に沈む夕日」とかです。
元々は海に沈む夕日をバックにしたかったのですが、処理が重すぎて書き出し出来なかったので、空にしました。
雲の配置はanodeの扉と対になっています。めっちゃ地味ですけどこだわりましたので確認してみてね。

今回のデザインはかなり難航を極めました。
メンバーさんにも見せてないですが、結構ボツになった案も多く、対のデザインにすりゃ良いだけなのにここまで難航したのはちょっとしんどかったです。

色々と思考錯誤を重ねましたが、最終的には意味のあるものになったのではないかと自負しています。

実際にメンバーさんのリアクションもかなり良く、僕は上機嫌になりました。
ちょっとは頭にあるものをビジュアル化するのが上手になったんじゃないでしょうか。

これからも頑張るぞー

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