この作品は、たまたま本の整理をしていて、1匹のシミと出会ったことがきっかけで制作しました。
シミは体長10㎜ほどの小さな虫です。古い紙や書籍によくいます。古い紙の表面を削り取るように食べるので(実際はもっと雑食のようです)、害虫のひとつとして扱われています。
シミは英名がSilverfish、漢字でも紙魚と書いてシミと読みます。すばやく体をくねらせて移動する様子が魚を連想させ、その名前になったと言われているそうですが、見た目もいぶし銀の金属光沢で、どこか青魚を思い出させます。
そのシミの体表をルーペなどで見てみると、一面まるで魚のうろこのようなもので覆われています(鱗粉と言います)。名前だけでなく、実際に体も「うろこ」だらけ。そして、顔の部分も絵にかいた通り、どこかユーモラスな印象を受けました。まるでファンタジーSFに登場するモンスターのようです。
昔から個人的にシミはどこか憎めない存在で、今回縁あって作品にできたのは嬉しい気持ちです。虫が苦手な方もいらっしゃるとは思いますが、シミのユニークさが伝わりましたら幸いです。
