「そうですね。その本は作家、有坂汀にとっての『転換点』になる作品となるでしょうね。」
本書の企画を当時、僕の地元の大学である釧路公立大学にて下山朗准教授(現大阪経済大学経済学部経済学科教授)に説明した時、僕は冒頭の「予言」を受けました。本書は自身8冊目の著作にして初のノンフィクションとなる作品になります。
内容はと言いますと僕自身が北海道学生研究会SCAN第6,7期。並びに釧路公立大学下山朗ゼミの第10、11期の「リア充」たちの学生に真正面から分け入って彼、彼女らと2年間行動をともにし、その言動をつぶさに見聞きしたことを記録し、また自分自身が考えたことを1冊にまとめたものです。
本書はいろいろと自分自身でも「初めて」の試みをおこなっており、まずは自分でも初めてノンフィクションを執筆したことに始まり、今まで書くことを忌避していた地元・釧路を題材に描いたものであること。さらには取材期間が3年。彼、彼女らを教えて2年。執筆に1年を費やし、かけた費用は実費で4.50万円のほかに僕の人件費や機会費用を加味すれば100万円はくだらないので、僕はある時期から計算するのをやめました…。
取材を行う前に提示した条件は
「自分が本を書く代わりにウェブサイトをはじめ、SCANが持っているウェブ環境をできる限り一新したい。」
とのことで、本書に頻出する広報代表であり、僕をドルヲタの世界へと引きずり込んだ「H青年」を始め、一回り以上年下の大学生である彼、彼女らとみっちり2年間向き合った記録が本書であり、刊行前に文字数を計算したら約17万字あり、これには自分自身が驚いてしまいました。
本書は刊行前に大学を卒業して社会人となった第10期生には記念として全員に、第11期生には希望者のみ(それでもほぼ全員)地元の印刷会社で印刷・製本して「サイン&握手会」を敢行して全員に配り、さらに「初版本」には制作上の都合でカットしたところや当たり障りが「ありすぎる」箇所などを1万字以上追加してリリースしたのがこのバージョンとなります。
そして、本書を僕が20代の頃から世話になっている「知人」に献本したところ、以下のようなメッセージをいただきました。
「本今日受け取りました。まだ読み始めたところだけど、面白いね。個人的には今まで出した本のなかで一番いいと思うよ。ありがとう。」
「本読み終わりました。3年間難しいことに取り組んでいたのには驚きました。ずいぶんしっかりした内容で、有坂君も大人になったんだね。関心しました、内容も読み物としても面白かったです。SCAN初めて名前きいたけど、こんな真面目なテーマに取り組んでいる学生が地方にいるのに驚きました。彼らも貴重な体験をして大学を巣立っていったんだね。」
とのことであり、受け取った時は思わず目頭が熱くなったことを覚えております。
さて、問題は取材、執筆で多大な労力を使った後に今度は「売る努力」をしなくてはいけないわけですが、僕の力だけではどうしようもないので、皆さんのご協力をお願い致します。は僕こと有坂汀が2015年から17年の3月まで地元の大学である釧路公立大学にて2年間、下山朗准教授(現在は奈良県立大学准教授)のゼミ生と共に過ごした日々を記録した自身初の「ノンフィクション」です。