コンセプトは「終わりから始まる」「日常への回帰」「英雄としての経験、少年としての成長」。後に続く物語への関心を最初から高めるため、ある種のクライマックス=主人公の死を冒頭に持ってこようとしたのが構想のきっかけ。とはいえ既存の作品でもそれなりに使われている手法なのでなるべく死の背景をはっきりさせ、話の方向がフーダニット、ホワイダニットのように過去へ向かわないようにした。 話のタイプとしては主人公が場違いな状況に放り込まれる「陸に上がった河童」型。前半は慣れない日常に四苦八苦する主人公をコメディ調に描きつつ後半の行動への動機づけを行い、後半では英雄であることを隠しつつ英雄としての力と経験を用いて問題の解決を図るというオーソドックスな構成。反省点は日常的な描写を強調しようとするあまり前半は散発的なエピソードの連続に終始し、後半への入りが急で唐突な終わり方になってしまった点と、世界観がスタンダードな中世ヨーロッパ的なステレオタイプでオリジナリティが薄かった点。