私、有坂汀のツイッターで2010年度につぶやいたツイートを取捨選択した上で一冊にまとめました。編集していて思ったことは「私」というものが良くも悪くも最も生々しい形で出ているな、という事でありました。
世に言う「ツイッター本」というジャンルの本が最近出ていまして、僕もいくつかそれを読んでみて、
「だったら自分にも出来るんじゃないか?」
というなんとも隊それた妄想を抱き、2010年度の「つぶやき」をまとめたのが本書です。
やはり、これを作る前に参考にした書籍がいくつかございまして、それはたとえば、詩人で教師の和合亮一氏の「詩の礫」シリーズなどの高尚なものもあったのですが、やはり本書を編集、作成する上で最も参考になったものは、規格外の芥川賞作家、西村賢太氏の『一私小説書きの日乗』でありました。淡々と事実のみ(編集者との軋轢や自身の「買淫」のことまで)を記述していくそのスタイルを再読したときに
「あ、これだ」
と思ってしまったのです。
しかし、いざ自分のツイッターで発言したつぶやきを取捨選択して編集するのはそれなりの苦労を付きまとうと言うことに気づいたのは、作業を開始して少ししたあたりのことでした。やはり、そのときは思いに任せるままにいったことが後になって
「これはまずいなぁ」
という部分がいくつかってそれを本書に収録する際には削除したり、当時思っていたことや語っている事象に関する後日談や訂正を入れたり、後は打ち間違いや誤字を訂正するという煩雑な作業がいつものことながらあとからあとから雲霞のように降りかかってきて、
「これ本当に完成するのかなぁ」
ということを幾度も思ってしまいました。
ただ、なんだかんだでこうして世に問うことが出来て、
「終わりよければすべてよし」
ということで、納得をしております。あとは、少しでも売れてくれればなぁと、そんな浅ましい
『獲らぬ狸の皮算用』
をこの文章を書きながら考えているのでございました。