『ちょっと思い出しただけ』“ちょっと”思い出すくらいが丁度良い。今を紡ぐ過去との関係性
こんな松居作品が観られる日を、ずっと待ち望んでいた。松居監督が主宰する劇団ゴジゲンの劇団員・東迎昂史郎と15年来の友人である僕は、2008年頃からゴジゲンの舞台と、松居監督が手掛ける映画を観続けてきた。 響く作品もあれば響かない作品もあったのだが、ある段階から、こんな風に思うようになっていた。特異な設定や男子校的なノリを用いることのない、真っ向から人を描いた作品を観てみたいと。原作モノでもなく、「松居大悟」という人間そのものが色濃く、奇をてらうことなく反映された物語に触れてみたいと。そして、本作こそが、それらに該当する松居作品であったのだ。
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