じゆうのこ_桜庭一樹『私の男』|i
私の男は、ぬすんだ傘をゆっくりと広げながら、こちらに歩いてきた。(p6) 桜庭一樹『私の男』文藝春秋 以下は、桜庭一樹著『私の男』の本筋に触れます。本作品はインセスト・タブー(近親相姦)を題材にしており、プロットやストーリーの面白さとは別に、「受け付けない」「理解できない」といった評価をされることが多い作品です。 けれど、私はここでインセスト・タブーの社会学、倫理学、生物学的な是非ではなくて、ひとりの人間とひとり人間の尊いつながりを言いたい。以下の棒線から次の棒線はあらすじです。 2008年、腐野花が養父である腐野淳悟を連れて、婚約者である尾崎美郎と食事をするレストランへ向
https://note.com/eauuy/n/ne09e3898e5f4