生きる姿を、ただ耳元で見ていて。|くまのなな
あのね、本当は、つい逃げ出したくなるの。 人の視線にさらされず、言葉を求められず、 現実味のない場所でただ微笑んでいられたら。 傷つくことはないのかもしれないなって。 ああ、でも、わたしには自我がある。 意志がある。言葉がある。権利がある。 なにも見えていないフリをして ひたすらニコニコしていたら、 きっとそのとき、わたしは聞くんだ。 心が潰される音を。尊厳が崩れる音を。 家の中の、いつもと同じ場所。 大切に飾っているその子をすいと手に取る。 不安だよ、無理だよ、怖いよ、もうやめたいよ。 心が叫ぶ日には、いつもこの子に触れる。 ゴールド、シルバー、マットゴールド。 逃げ出しそうにな
https://note.com/kumanonana/n/na0cd10163b9a