傾聴という、ラグジュアリー / Cornelius『夢中夢』 レビュー|しろみけさん
音の減衰をここまで意識したのは、一体いつぶりだろう。夜、誰もいない街へと出て、手を叩いてみる。「パンッ」と渇いた音がマンションの壁へと当たり、反響を伴って、徐々に空気の中へと消えていく。どこか遠くに飛び立っていったような気もするし、元からどこにもなかったような気もする。 思えばCorneliusの作品——とりわけ2001年の『Point』以降——には、音の減衰をはっきりと感じられるデザインが施されていた。音数を絞るのみならず、アグレッシブなパンニングを施して、発音のタイミングも再考し、トラック全体の「容積」は押し広げられた。結果的に構成音の輪郭は強調され、“Audio Archite
https://note.com/ky_spy2000/n/n936da868c6b6