小説「アリアンロッドの子供たち」冒頭試し読み|小宵
居住コロニーのロビーは、ひしめき合う大人たちのささやき声に満ちていた。恐れるような、期待するような、新しい時代の予感に空気が震えている。 皆の視線の先、湾曲した壁面に沿って設置されている巨大なモニターには、まだ新発売のスペースフードのコマーシャルが放映されていた。肩を寄せ合ってずっと話し込んでいる両親の後ろで、ぼくはぼんやりとそのビビッドカラーの映像を眺めている。〝まるで地球の味!〟などと宣伝文句を並べられたところで、ぼくはその味を知らない。 唐突にコマーシャルが終わり、ニュース番組『MBCニュース』のロゴが表示されると、ざわざわと続いていた人の声が一瞬、ぷっつりと途切れた。真空
https://note.com/koyoi_1101/n/n44537243a752