待合室で飴玉を|こまつな|note
「アメ、食べる?」 か細い声が、白い待合室にしんと吸い込まれていった。 沈黙に耐えかねた私が、隣に座る君に差し出した一粒の包み。 君はゆっくりと手を伸ばしてきてそれを受けとり、パッケージの絵柄を確認して、それから包みを破いた。 私は君よりずっと猫背がひどくなっていて、 背は君より伸びたはずなのに、見下ろされる格好になっている。 それが滑稽で、より一層私の口を重くさせていた。 12年ぶりに会った君は、始めこそ制服のスカートをはためかせ、はしゃいでいたものの、 言葉を交わす度、どんどん難しそうな顔になっていった。 君からの問いかけに、私がもごもごと、うまく答えられないでいるので、 そ
https://note.com/5ma27/n/nc65c5c24a4d4