案山子|園葉凌
Aさんの思う案山子は少し違うそうだ。 「すぐ思いつくのって、生首なんですよね。マネキンの」 【案山子】 山の裾野に広がる町で育ったAさん。家から小学校までの通学路は山の麓に沿っており、いつも徒歩で通っていた。道すがらにはいくつもの果樹園があり、中でも小学生たちに有名な柿畑があった。通学路より高い位置にある果樹園を見上げると害鳥除けの多数の案山子と目があうのだ。 竹の先に固定されたマネキンの生首たちと。 黄色の目玉模様のバルーンは他の畑にもあるが、ここの主はどこで調達してくるのか美容室にあるようなマネキンを果樹の合間に設置していた。おそらく不必要なものを拝借してくる
https://note.com/night_iolite/n/n0e351b4e3e13