色とりどりの花束を | 5分で読める短編小説投稿サイト - Prologue(プロローグ)
心に染みる物語 | アニィ | 「こんなの、どこで売ってるの?」
それを差し出されたとき、思わず聞いてしまった。
ピンクのブーゲンビリア、紫のスターチス、深紅のバラ、黄色いヒマワリ。
おそろしくカラーセンスのない花束を、真剣な表情でこちらへ向けながら、洋一はきっぱりと言った。
「俺の気持ちだよ、沙夜」
……え? なにが? 俺の心の中も極彩色ですとか、なんかそんな感じ?
茶化そうとしたけど、うまくいかなかった。だいたい、会った瞬間に花束だなんて反則だ。洋一らしくもない。
もっと後腐れなく、さっぱりと、カフェでパンケーキでも食べながら明るく切り出すつもりだったのにな。
これは受け取れない、とやんわりと押し返す手が震…
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