おじいちゃんと社交ダンスを|池田あゆ里@インタビューライター|note
あれは大学一年生の春、「社交ダンス部に入る」と言って家族を驚かせた。「未経験なのにできるの?」「お金がかかりそう」と批判的な声が一同に集まるなか、祖父だけはわたしの言葉を聞いたあと、表情一つ変えずに立ち上がった。そして書斎に向かいってゆき、わたしをこまねいて古い本を見せてきた。社交ダンスの足型が書かれた本だった。 「昔じいちゃんもな、社交ダンスやっとったんだぞ。さすがワシの孫だナ」 「いつか一緒に踊らにゃならんわ!」 そういってニッと笑った。 「まだ足型もわかんないから、秋くらいになったら踊ってあげるよ」と照れながら言った。 その3ヶ月後、祖父は交通事故で亡くなった。一緒
https://note.com/amayuri4/n/n7a8d3712cb13