短編小説『サイクロプスと解像度』|北欧ゆう
※漫画「勇者名探偵」収録 第三話「はだか以上の王様」の後日譚です。 街の公園に怒号が炸裂する。 「舐めてんのかてめえ!」 カサカサの肌のやせぎすの人間の男が、ツヤツヤした肌の健康そのもののサイクロプスの男、つまりひとつ目の巨人に胸ぐらを掴まれて怒鳴られていた。 この公園にて、今まさに暴行事件の被害者になりかけている一人の人間こと、ギュスターヴ・ル・ガルニエは目を閉じて故郷の祖母を想った。 そういえば元気にしているだろうか。そういえば庭の野菜は育っているだろうか。そういえば仕送りは届いただろうか。 『そういえば』を繰り返す意識は、胸ぐらを中心に振り回される人体の中
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