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制作ノート
鷹匠から学び、戦闘機を 「現代の鷹」へ ──造形作家 池内啓人

プラモデルの部品とデジタルガジェットと組み合わせ、ヘッドセットやジオラマを作り上りあげるアーティスト・池内啓人氏。

Note

彼の作品は、SFやプラモデルを愛するファンを中心に人気を集め、これまで数々の作品を発表すると共に、各地で個展を開催。2018年8月には西武渋谷のイベント展示スペースで『IKEUCHI Hiroto Solo Exhibition READY MADE』を開催、連日多くのファンが駆けつけた。

今回は彼の作品群の中から、本イベントでも展示され池内氏自らが「傑作」と語る『RDMD-HS08』について、foriio編集部が制作の背景をうかがった。

池内啓人(いけうち・ひろと)
ジオラマ造形作家 https://www.foriio.com/ikeuchi-products

1990年東京都生まれ。多摩美術大学の卒業制作として発表したパソコンとプラモデルを組み合わせたジオラマ作品『プラモデルによる空想具現化』が文化庁メディア芸術祭 第17回(2013年)エンターテインメント部門 優秀賞を獲得。世界最高峰のメディアイベント「アルス・エレクトロニカ」にも招待され、国内外で高い評価を受けているジオラマ造形作家。

戦闘機を現代の鷹に見立てた『RDMD-HS08』

Note

——『RDMD-HS08』を作ろうと考えた経緯を教えてください。

池内: きっかけは、テレビで鷹匠についての特集を見たことでした。

私の目には、人の腕から飛び立つ鷹と、人の手のよって操作されるドローンがとても似た存在に見えたたんです。そこから、デジタルガジェットを使った「現代の鷹」を作ろうと考えました。

—— 「現代の鷹」にはどのような機能が備わっているのでしょうか?

池内: 制作した『RDMD-HS08』はヘッドホンとVRゴーグル、コントローラーとドローンの発着地点を表すシールドの4点で構成されています。

VRゴーグルには、ドローンとWi-Fi接続をしたスマートフォンを設置し、鷹に見立てたドローンの視点を見られるものに。ヘッドホンでは、ドローンが拾ってきた音声を聴けるようにしています。

鷹の機能を持ちながらも、デザインは戦闘機らしさにこだわった

Note

——「現代の鷹」を表現するために、どのようなプロセスで制作をすすめられたのでしょうか?

池内: 僕の作品はすべて、既製品を組み合わせて作るレディ・メイドによって作られています。今回もプラモデルの部品を使おうと考えていたので、まず、鷹という生き物を機械らしいデザインに落とし込んでいきました。

その過程で参考にしたのが、ステルス戦闘機のF-35です。使うプラモデルや、デザインを考える上で、F-35の無骨な雰囲気を踏襲することに決めました。デザインの参考にする対象が決まったら、次は色を決めます。今回は、戦闘機が飛び立つ場所である飛行場を表現すべく、テーマカラーにグレーを選びました。

——制作の過程で、苦労されたことを教えてください。

池内: F-35の再現ですね。とくに塗装は苦労しました。F-35は、ドアなどの開閉部分にだけ白いラインが引かれているので、ヘッドセットも開閉部分を白く囲むデザインへと落とし込みました。

下地のグレーはエアブラシで塗ったのですが、白いラインは全て筆で描くというとても精緻な作業で……。細かい色ぬりにはいつも時間がかかりますね。ちょうど、先ほどまで着色作業をしていたところなので、指先が真っ黒です(笑)。

F-35以外にも、軍用の機械をデザインの参考に取り入れています。シールド部分は戦艦「いずも」の甲板から着想を得ました。戦闘機の発着場所である甲板は、鷹匠の腕と通ずるものがあると考えたからです。

他にも、ドローンに搭載されたバッテリーは、戦闘機の燃料タンクを模したデザインにしています。このバッテリーは実際に充電もできるようにしました。

—— 戦闘機や戦艦の要素が詰め込まれているのに、重たすぎない印象を受けるのが不思議です。

池内: 全体のバランスも重視しているからだと思います。今回は戦闘機の四角いイメージを再現するためになるべく四角いパーツを集めました。

実際に使った模型は、「アーマード・コア ヴァリアブル・インフィニティシリーズ ホワイト・グリント」と「ノブリス・オブリージュ、スター・ウォーズ タイ・アドバンスト」です。ただ 四角いだけではバランスが取れないので、 VRゴーグルは丸いものを選び、結果全体のおさまりを良くすることができたと思っています。

「現代の鷹」の視点を楽しめる実用的なアイテムとして、ぜひお手にとってみてください。

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造形作家・池内啓人の クリエイティブの裏側に迫る制作ノートシリーズ

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