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制作ノート
フェラーリの模型を、サイクリスト用ヘッドセットへ——VOGUEも認めた気鋭のアーティストが挑む。
Note

プラモデルの部品を分解しデジタルガジェットと組み合わせ、ヘッドセットやジオラマを作り上りあげるアーティスト・池内啓人氏。

国内外からの発注を受ける同氏は、昨年世界的なファッション雑誌『VOUGE』ともコラボレーションした。

今回紹介する、彼の作品『Headset#1806』は、VOUGEの撮影でイタリアを訪れた際にインスピレーションを得た作品だという。その制作の裏話を伺っていく。

池内啓人(いけうち・ひろと)
ジオラマ造形作家

foriio
https://www.foriio.com/user/ikeuchi-products

1990年東京都生まれ。多摩美術大学の卒業制作として発表したパソコンとプラモデルを組み合わせたジオラマ作品『プラモデルによる空想具現化』が文化庁メディア芸術祭 第17回(2013年)エンターテインメント部門 優秀賞を獲得。世界最高峰のメディアイベント「アルス・エレクトロニカ」にも招待され、国内外で高い評価を受けているジオラマ造形作家。

ミラノで出会った1/12のフェラーリをサイクリスト用ヘッドセットへ

Note

——フェラーリの模型を使いヘッドセットを作ろうと考えたきっかけを教えてください。

池内: 仕事でイタリア・ミラノを訪れたときにフェラーリショップへ立ち寄ったときのことでした。何気なく覗いただけだったのですが、フェラーリの55周年を記念に製造されたスポーツカーである「エンツォ・フェラーリ」の、1/12模型が売られているのを見て、一目惚れしたんです。

ちょうどその頃、イギリスのテレビ番組「トップギア」に影響されて車に強く興味を持っていたこともあり、「これで何か作れるんじゃないかな」と思い、購入しました。

——車の模型をサイクリスト用に作り変えたのは、なぜでしょうか。

池内: エンツォはスポーツカーなので、はじめは車に乗る人のためのものを作ろうと考えました。ただ、僕自身がスポーツカーユーザーでないこともあり、利用シーンがイメージできなかったんです。

単なる飾りではなく実用的なもの作りを過去の作品から一貫して続けているので、今回は、自転車ユーザー向けのヘルメット&マスクに変更しました。自分にとっても身近なアイテムにすることで、ディテールを作り込みやすくなるんですよ。

口周りの土台に防毒マスクを採用をしたのも、自転車ユーザーが排気ガスを気にしていることを実感として知っていたからです。

——実用性は残しつつも、フェラーリらしさを表現するために、どのようなことにこだわりましたか?

池内: フェラーリらしいオブジェクトやパーツなど、要素を盛り込みました。例えばマスクの中央にはエンツォのエンジンを配置したのですが、メーカーによってエンジンの形に特徴があるので、エンジンを見ただけでフェラーリだと認識してくれるお客さんもいらっしゃいました。

マスクのサイドには、別途用意したスピーカーのフレームを大胆に配置しました。本来スピーカーが入る部分にはタイヤを入れています。鼻のあたりには、エンツォのノーズ部分をつけ、メガネに見立てました。ヘルメットの下地はフェラーリらしい赤と黒に着色してあります。

——模型の部品をただ付け替えただけではなく、車の部品本来の役割を反映されているような箇所がありますね。

池内: ヘルメットのサイドについている突起部分は、最近の車によくついているエアロスタビライジングフィンという、気流を安定させるための穴です。また目の近くには、「安全確認をしっかり行いましょう」というメッセージを込めて、1/12サイズのサイドミラーをつけました。

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既製品を材料とするからこそ広がる、人の輪と守備範囲

——イメージをデザインに落とし込むときに、気をつけていることはありますか?

池内: 最近の作品づくりの傾向として、作る前にコンセプトを決めることは意識しているかもしれません。今回であればエンツォというテーマを決め、その世界観を極力体現するもの作りをしました。それもあって、今回のヘッドセットには車好きの方がかなり興味を持ってくださいました。ノーズの部品を見ただけで、「エンツォですよね!」と気付く方もいます。

他にも、バイクをモチーフにした時はバイク好きの人と、ガンダムの模型を部品として使った時はガンプラ好きの人から反響が得られます。作品を通して別の分野の深いお話を聞け、表現の幅が広がるのは、僕の作品の面白いところかもしれません。

Note

——表現の幅でいうと、今回はヘッドセットだけでなく、衣類や自転車もセットでコーディネートされています。なぜでしょうか?

池内: より広範囲に及んで世界観を統一できればと考えたからです。今回のヘッドセットは、衣服・自転車とセットで販売します。リュックはPoint 66のハードシェル、上着はフェラーリショップに売っていたもの、自転車もフェラーリが監修しているものです。

オリジナルの服を作るのではなく、あえて既製品の服をセット販売することが、僕が掲げているレディ・メイドの考え方に合っていていると思います。ゆくゆくは空間までトータルコーディネートできるようになっていきたいと考えています。

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造形作家・池内啓人の クリエイティブの裏側に迫る制作ノートシリーズ

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