【ウェディングノベル】自然なふたり|藤原幹也|note
◎拓郎 信号が黄色に変わる。 アクセルを強く踏めば間に合いそうだが、無理はしない。なんせ待ち合わせ時間までたっぷり余裕がある。右足をブレーキへ移動させた僕は、浮き足立った心を落ち着かせるように愛車をゆっくりと停止させた。 まだ誰もいない助手席に視線をやると、数十分後にはそこに座っている彼女の姿よりも先に、初めて彼女の車の助手席に座った自分の姿を思い出してしまう。運転する彼女の目に僕はどのように映っていたのだろうか。それは初めて彼女に出会った夜でもあった。 「おまえ、今度の日曜の夜って予定あるの?」 「特にないですけど」 「四対四で合コンやるんだけど来てくれない?頼む!」 会社の先
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