失恋ですか、と美容師さんは聞いた|mayu
「20cm、切ってください」 鏡に映る自分をまっすぐに見つめて、考えてきた言葉を一息に言い切りました。 「顎くらいかな、それより下?でいいですか?」 3回目になる担当の美容師さんは、初対面とも気を許してるとも言えない距離の敬語でわたしの毛先をいじりました。 顎下のボブなんて、何年ぶりでしょうか。 大学2年生くらいまで、高校生の延長のようなボブをしていたのが私の中では最後の記憶です。それからは鎖骨あたりで揺れるくらい、伸びてもそこに戻って、当たり障りのない女子を楽しんでいました。 「じゃあ、切るよ。」 一気に入れられたハサミは、咄嗟に切りすぎた、と思うのに
https://note.com/mule_choo/n/n935592d43d24