【アルゼンチン短編】 月夜の悲劇と奇跡|奥川駿平🇦🇷|note
これは2015年にアルゼンチンへ移住した作者が、現地での生活や人々との触れあいから得た経験をもとに創作した短編です。今作のテーマは「軍事政権時代の出産」。どうぞお楽しみください。 1990年 「私たちには長女がいたのよ」 いつものように、アンヘリカは子供たちに昔話を聞かせる。何百回と話しているから、まるでおとぎ話のように語れるほどだ。 「あれは年に一度あるかないかの大雨の夜だったわ。雨で停電して、分娩室には一本の短いろうそくが置かれていたの。あなたたちのパパが私の手を強く握り続け、ろうそくが燃え尽きるころ、赤ん坊が生まれた」 3人の少年たちは、木陰の下に静かに座り、耳を傾
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