おじいちゃんに会いに行く|松本 麦
先日、大好きなおじいちゃんが亡くなった。 年末に体調を崩してから入院し、わずか1ヶ月半の出来事だった。当たり前のように元気になって、家に帰るだろうと思い込んでいた。夏に行う予定のわたしの結婚式にも来てくれると、心から信じていた。 幼い頃の記憶 わたしは小学3年生のとき、おじいちゃんの家の隣に引っ越してきた。おじいちゃんは近所の商店街ではそこそこ有名な薬局を営んでいて、わたしはよく店に遊びに行っていた。裏口からこっそり入り、机の上で作業するおじいちゃんに学校のことを話したり、一緒にお菓子を食べたりした。 中学生になる頃には、店に行く回数は減っていた。部活で必要な備品代をおねだりす
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